仕事。それは人生の大半の時間を費やす対象だと思います。一日の1/3、人によっては半分の時間を仕事に投下している人も多いのではないでしょうか。
そんな人生において、切っても切り離せない”仕事”というものを改めて「仕事とはなんだ。そして良い仕事をするにはどうあるべきか。」という問いを自分に向ける上で、最適な本に出会えました。
その名も「仕事。」
この本は「電車男」「告白」「君の名は。」等大ヒット映画の監督を務めた川村元気氏が日本の錚々たる表現者へのインタビューがまとめられている本です。
それこそ宮崎駿さんや坂本龍一さんなど世界にも名が轟く表現者、クリエイターの方のインタビューが掲載されています。
きっかけは私が所属するリクルート社長が社内報でおすすめ著書としてあげていたからになります。
リクルートの社長はよく社内報で社員へのメッセージをくれます。今思考していることや、大事としている価値観について、そしておすすめの本や漫画も発信してくれています。
ということで、本記事ではリクルート社長もお墨付きの”仕事”に関して思考を巡らせるために最適な本を参考に、仕事の本質に迫っていけたらと思います。
日本を代表する表現者にとっての仕事。
山田洋次
経歴
日本を代表する映画監督・脚本家であり、特に「男はつらいよ」シリーズで知られています。1931年9月13日に大阪府豊中市で生まれ、幼少期を満州で過ごしました。戦後、日本に戻り、東京大学文学部に進学し、卒業後に松竹に入社しました。
1959年に映画監督としてデビューし、その後、国民的な映画シリーズ「男はつらいよ」を1969年から手がけました。このシリーズは48本もの作品が制作され、主演の渥美清が演じた主人公・車寅次郎のキャラクターは、日本人に広く愛されました。山田洋次はこのシリーズを通じて日本の家族や庶民の生活を温かく、ユーモラスに描き続けました。
また、山田洋次は「幸せの黄色いハンカチ」(1977年)や「たそがれ清兵衛」(2002年)などの名作でも高い評価を受けています。特に「たそがれ清兵衛」は、第76回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされるなど、国際的にも注目されました。
彼の作品は、日本社会の変遷や庶民の心情を丁寧に描くことで評価されており、数々の映画賞を受賞しています。現在も映画制作に携わっており、その功績は日本映画史において重要な位置を占めています。
学ぶということがそっくりなぞるように真似ること
リクルートにはリクルート用語と呼ばれる言葉がありまして、リクルートの中で独自に使われるようになったものなのですが、その中にTTPという言葉があります。
ちょっとダサくはありますが、徹底的にパクるを意味する言葉で営業の新人立ち上げとかはよく「売れている先輩をTTPしろ!」みたいに使われます。
しかし、人はどこか人を真似るよりも独自でやりたくなる衝動の方が強いのかもしれません。しかし、本当に成長をしたいなら、オリジナルを完全排除し、まずはまねる。まねきることがだいじ。
私も新卒の時は、人を真似るよりも自分で考えて、オリジナルの仕事、アウトプットに価値があると勘違いしてしまっていた時期はありました。
”すごくやりたい一人”がいる企画が化ける
私は恥ずかしながらまだみたことはないのですが、誰しもが名前は聞いたことがある名作「男はつらいよ」を企画された山本洋次氏の言葉は刺さります。
私も企画の仕事をする中で、本当に自分の心の底からやりたい!と思う企画はまだできていない。まだまだだなと感じました。
「これだけあいつがやりたいというならひょっとしたら、ひょっとするかも」というかみんなが反対したけどものすごいやりたい一人がいた案件の方が成功する確率があるんじゃないかな。
僕の時は最終的に映画化を決めたのは会長の城戸さんだったけど、彼だって『男はつらいよ』の企画を買ってたわけではないんだよ。
僕がやりたがってたことが大事だと思ったんじゃないかな。
沢木耕太郎
経歴
日本のノンフィクション作家であり、1947年12月21日に東京都で生まれました。彼は早稲田大学を卒業し、作家としてのキャリアをスタートしました。
代表作には、旅行記『深夜特急』シリーズがあり、これは彼のバックパッカーとしての体験をもとに書かれ、広く人気を集めました。また、スポーツや社会問題に関するノンフィクションも多く手掛けており、『一瞬の夏』や『テロルの決算』などが高く評価されています。沢木耕太郎は、鋭い観察力と豊かな表現力で、リアルな人間ドラマを描き続けてきました。
ソロの力がある人がゆるやかに組んだパーティーが強い
これからの働き方としてメンバーシップ型からジョブ型への変化一層強まると言われています。
ジョブ型雇用とは、職務内容や役割が明確に定められており、その職務を遂行するために必要なスキルや経験を持つ人が採用され、評価される働き方のことです。報酬や昇進は、個人の成果や専門性に基づいて決まります。
これに対して、従来の日本のメンバーシップ型雇用は、職務内容が固定されていない状態で従業員が企業に所属し、年功序列や企業全体での評価に基づいて昇進や報酬が決まる働き方です。
ジョブ型は、特に専門性の高い業務に適しており、近年のグローバル化や技術革新によって日本でも注目を集めています。
そんなトレンドを踏まえても沢木耕太郎氏の言葉は、これからの仕事の当たり前を的確に捉えていると感じました。
そういえば、学生の時インドに行く前に沢木耕太郎氏の『深夜特急』を読んで予習をしたのを思い出しました。笑
大切なのは「どこにいてもソロで生きられる力をつけろ」ってことなんですね。
新たなパーティーに誘ってくれる人がいる時、参加できる準備をしておくことが生き方の理想系だと思う。
場合によってはみんな個性が強いから、喧嘩になっちゃうかもしれないけどね。
糸井重里
経歴
日本のコピーライター、エッセイスト、作家であり、1957年11月10日に群馬県で生まれました。彼は広告業界で多くの印象的なコピーを書き、特に1980年代にヒットした「不思議、大好き。」(任天堂のファミコンCM)などが有名です。
その後、彼は任天堂と協力して、人気ゲーム『MOTHER』シリーズの企画・脚本を手掛け、ゲーム業界でも大きな影響を与えました。また、1998年にウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」(通称「ほぼ日」)を創設し、日々のエッセイや記事を発信し続けています。このサイトは独自の視点でのコンテンツが人気を博し、現在も多くの読者に支持されています。
糸井重里は、広告業界、ゲーム業界、そしてウェブメディアと、多岐にわたる分野で影響力を持つ人物です。
リスクばかり考えず、「どうやって生きるか」を面白くやれ
まさしく若者向けの事業をしている糸井重里氏の考え。若者は後先考えすぎる。逆にいえば、若い時だから後先考えず、リスクを負える。
別に失敗してもいいや、くらいの気持ちで何かを始めた方が今の時期はいいかもしれない。もっといえば、そうしないと自分の視野がもっと狭くなる。
三日坊主でいい。三日坊主の点がゆくゆく線になるから。そう思っていいかもしれません。
受験と就職とか、若者がリスクを抱えて、そんなことばかり考えなくていいよっていうのも言いたいね。どうやって生きていくかってことを、面白くやれよって。〜中略
働いてみたら面白かったってことを、大人になって知るじゃない。こうして川村さんに会うのも同じで、会ってみれば楽しいわけ。
だから、僕は法則をつくったりもしています。まず、なるべく約束をすること。できる限り約束を守ること。守れなかったら全力で謝ること。
この3つを決めておくと逃げられないし、ものぐさになりすぎないように。
”良い仕事”とは何か
本著を通して読んでみて率直に感じたことは”良い仕事”はなんだということです。
本著を通して読んでみて、「良い仕事」の定義は「人を感動させること。そして感動してもらうためにこだわり、やり抜くこと」と定義できるのではないかなと感じました。
仕事の内容は千差万別だと思います。
業種や職種だけの切り口でも具体やっている仕事内容や仕事で求められるミッションや成果もバラバラでしょう。
しかし、仕事の本質はやはり自分が関わる人に対してどれだけ感動を届けられるか。そこにあるのではないかなと本著を読んで改めて心に感じました。
営業の仕事は、売り上げを上げる。マーケティングの仕事はいい広告の作ること。経理の仕事は数値にミスなく処理すること。ではないのです。
自分が仕事を通じて、誰を感動させることができたか。そしてどの感動の総和が最初は目の前の人だけだったが、それがどんどん広がってくこと。これが仕事における成長であり、仕事の本質である。
私は本著を通してそう感じました。
終わりに
本著は名だたる有名人たちの若かりしころどう考えていて何を行動したか、という貴重な情報が満載に載っています。
そしてやはり20代、30代の過ごし方がいかに重要か、ということを本著を通じて改めて痛感しました。
私も成長をしながら、少しでも本ブログで20代を充実にさせるきっかけを読者の皆様に届けたらな、そう思います。
参考著書