AppleのCMを見て、すごく感動されたという方いらっしゃらないでしょうか。僕は不覚にも波を流してしまいました。いくつかここでご紹介するので、感動したい方、涙を流したい方、ぜひご覧ください!
そこで、僕はなぜAppleのCMは涙を誘うほど人の心を動かせるのか。なにが他の企業のCMと違うのか。という点に非常に興味を持ちました。
すると、そのなぞを解明してくれる”ゴールデン・サークル”という理論を見つけたので、共有したいと思います。
"ゴールデン・サークル"とは一体?
”ゴールデン・サークル”とはサイモン・シネックがTED Talkで「優れたリーダーはどうやって行動を促すのか」において紹介した理論です。
この理論は非常にシンプルです。
上記の図で全てが説明できます。つまり、心を動かし、行動を促せる人はWhat→How→Whyの順ではなく、Why→How→Whatの順で物事を伝えるということです。
具体的にどういうことか。サイモン・シネック氏はまさしくAppleを例にとって説明しています。いか、TED Talkからの抜粋です。
例を示しましょう 私がアップル製品を使っている理由は分かりやすく誰でも理解できるから アップルが他の会社と同じだったら こんな CM を作るでしょう 「我々のコンピュータは素晴らしく 美しいデザインで簡単に使え ユーザフレンドリー ひとつ いかがですか?」いりません 我々のほとんどはこんなふうに伝えます マーケティングや売り込みもそう 我々の対話のほとんどが そんなふうに行われます 何をして どう違いどう優れているかを述べ 相手に何か行動を期待します 購入とか 投票とか のたぐいです 私たちは新しい法律事務所を開所しました 最高の弁護士たちと大手のクライアントを抱えています 私たちは常にクライアント第一で行動します これが私達の車のニューモデルです 低燃費で シートは総革張り いかがですか? これでは心を動かされません。
アップルならこんな風に伝えます 「我々のすることはすべて 世界を変えるという信念で行っています 違う考え方に価値があると信じています 私たちが世界を変える手段は 美しくデザインされ 簡単に使えて 親しみやすい製品です こうして素晴らしいコンピュータができあがりました」 一つ欲しくなりませんか? 全然違うでしょう? 買いたくなりますよね? 今したのは 情報の順番を逆にすることでした これが示すのは 人は「何を」ではなく 「なぜ」に動かされるということです 人は「何を」ではなく「なぜ」に動かされるのです。
確かに全く違いますね。では具体的にAppleのCMはどんなWhyを人々に訴えかけているのかを分析してみました。
"What's a computer"と”1984”に込められたWhyとは
まず、上記のCMをみて、Appleは何を伝えたいのかを考えてみてください。
いかがでしょうか。子供がiPadを持って様々な機能を使い、生活する様子を描いているCMですね。確かにAppleはiPadはこんなことできますよ、というHowから入っているCMですが、言葉は一切ないのであまり気になりません。
このCMでAppleが伝えたいこと、それは子供が最後に発する”What's a computer”が全てだと僕は思ってます。最後、”What's a computer”というコトバを聞いた時、僕は鳥肌が立ちました。
どういうことか。つまり、Appleは近い将来、コンピューターという概念、つまりパソコンという言葉を無くしますよ。iPadが次世代のパソコンとなりますよと訴えているのです。iPhoneが登場して、携帯という言葉がなくなったように。
実はこれすごいことで、なぜかというとAppleもMacというパソコンがあり、販売しているからです。Appleの売上構成をみてみるとiPhoneからの売上がほとんどですが、Macもある程度の売上をあげています。
つまり、Macはパソコン市場に見切りをつけ、iPadの市場を伸ばして行くという意思表示もこのCMから理解できるのです。
最後に上記のCMのWhyを分析してみます。この"1984"というCMはとても有名なものですね。しかし、意外とこのCMの伝えたいことってなに?と思われる方も多いと思います。
このCMでAppleが伝えたいことはズバリ「IBMの情報支配から皆さんを解放しますよ」というメッセージです。IBMは軍事目的でコンピューター技術を発達させ、このCMが発表させる前はコンピューターの技術はIBMが独占していたのです。そこに我々は風穴を開けますよ。と主張しているのです。
最後の一文は、イギリスの小説家であるジョージ・オーウェルが描いた「1984」の内容である全体主義にはならないよ、なぜなら我々がIBMに対抗するから。と言いたいのですね。
おわりに
調べてすごく納得しました。確かに日本企業でここまで明確なWhyを示している企業はないかもしれません。Appleのすごいところは目先のWhatではなく、遠い先のWhyを見据え続けるからこそ、現在の地位を築くことができたと言えると思います。